第4回 患者様に自立してもらう歯科医院
先日私はある歯科医師の先生が主催する医療シンポジウムに出席させて頂きました。
その数日前にあるご縁でこの先生と出会い、本シンポジウムにお招き頂くことができました。
そこでは多くの気付きを頂き、志を同じくした仲間がたくさん出来ました。
ご縁は大事にする事の意義を改めて実感した次第です。
たくさんの気付きのなかから、一部をご紹介させて頂きます。
1.知りたい患者対応~依存と自立~
医療従事者が治療の際、治療内容について患者様にどこまで選択肢を提示すべきか。
無尽蔵に提示すると混乱を与える。
プロとしてその患者様に合った治療方法をある程度絞りこみ説明をする、などが議論されました。
私はかつて読んだ本に医療の主役は歯科医師でも歯科衛生士でもなく、
患者様であるという言葉が思い浮かびました。
中村天風氏の言葉を引用して理解しましょう。
患者様から「おかげさまで先生に治療して頂いて、
とてもよくなりました。ありがとうございます。」
歯科医師からしたら、自分に治療してもらってよくなったと言われて悪い気はしない。
けれどもそういう考え方の人がいるなら、自分の治療を受けて悪くなったと思う人もいるかもしれない。
それなら
「先生に会ったおかげで自分でものを考え、判断できるようになりました。」
といってもらえるほうが嬉しい。
患者様を自立させることが医療従事者の役割であることを、考えさせられましたが、
いかがですか。
2.教えて皆さんの理念、そして大切にしている考え~人材育成~
スタッフに医院の理念が浸透しているか、共有できているかが議論されました。
歯科医院に就職をして(歯科衛生士ならそのまえに歯科衛生士学校を卒業して)、
ある程度経験すると、スタッフはその仕事についてはどんどん専門的になり、ベテランになってきます。
しかし、その仕事以外に(報酬をもらうこと以外に)入職時のモチベーションを持ち続ける、
自分を高める努力をしているか。
それは直接収入を増やす訳ではないかも知れません。
しかしそれが人格を高める、深めることになることは間違いありません。
歯科医院に就職して給料を貰っているから、それ以外の学びをしなくていいということではありません。
自分はまだまだ未塾で勉強不足だと謙虚な生き方を続けていくと、
大変奥の深い、魅力的な人格を形成していくものです。
常になにかを学ぼうという姿勢で生きていってほしいと思います。
3.その医療は本当に人を幸せにしていますか~幸せの定義~
この議論では幸せについて考えさせられました。
幸せとはいったいどういう状態をいうのでしょうか。
一般的に人に幸せを与えてくれるものは、物、環境と心の三つに分けられると言われています。
物や環境の幸せとは、金銭や今ある物的な状況が満たされていると感じる状態です。
これはご承知のように 人間の欲というのはこれでいいというものはなく、いわば際限がありません。
自分自身が満足する心を持っていない限り、幸せと感じるどころか、不幸と感じることになります。
心はまわりの状況如何に関わらず、自分がどう思うかということです。
物や金銭がなくても、あるいは環境が他人から見てもひどいと思われる状況であっても、
それを幸福と思う心があれば、その人にとっては幸せだと思います。
患者さんを健康へといざない、幸せを供に実感できるようにすることが
医療に関わる人のこの役割ではないでしょうか。
本シンポジウムではその他にも多くの気付きを頂きました。
W先生には心より感謝しています。
藤家得弘のスーパーバイザー日記
・H22. 4.23 第5回 歯科医院経営最近の気づき
・H21.10.27 第4回 患者様に自立してもらう歯科医院
・H21.10.13 第3回 経営は総合芸術
・H21. 8.25 第2回 昼休みチェアがベッドに変わる?!
・H21. 7.10 第1回 点数を下げる必要がある?