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間違った遺言
間違った遺言

間違った遺言~角田祥子の税理士日記~

 

昨年82歳で亡くなった方のお話です。

相続人は妻と子供4人(3人姉妹と長女の養子)です。

30年前、長女が家を継ぐために、長女の夫が婿養子となりました。
次女、三女は結婚しそれぞれ他所で生活していました。

無事に葬儀が終わった翌日、見知らぬ弁護士から長女のもとにお手紙が届きました。

父の遺言書でした。

 

父の遺言書には

①財産は妻と3人の子供たちで均等に分けること。

②養子となった長女の夫には相続分はなし

と記されていました。

   

長女の夫は遺言の内容にびっくり仰天しました。
長女も夫も遺言の存在も知らされていなければ、なぜ父がそのような遺言を書いたのか全く理解できないからです。

長女の夫は家を継ぐために婿養子になり、自宅を始めとした財産は自分たちが引き継いで守っていくものと思って長年頑張ってきたからです。

民法では長女の夫には8分の1の法定相続分があり、その半分は遺留分という権利があります。

すぐに長女の夫は家庭裁判所に遺留分減殺請求を提出しました。

その後、姉妹間で調停は長期間に及び、10か月(相続税の申告期限)には話し合いはまとまりませんでした。

 10ヶ月後相続税の申告時に遺産は分割されず、税金上もとても不利になりました。
(自宅の評価減や配偶者の特例が使えず、また適切な節税対策をしていなかったためです)

 

本来なら1千万円以内で済んでいた相続税が、3千万円以上納めなければなりません。
相続財産に現金は2千万円しかなく、皆それぞれが、自分の財産から負担しなければなりませんでした。

仲の良かった姉妹は直接は口もきかなくなり、すべて弁護士さんを通しての話しかできないような姉妹になってしまいました。

遺言を書くことはとても大切なことです。でも遺言があってもこんな遺言ではなんにもなりません。

 

テレビドラマのように、被相続人が亡くなった後、

弁護士が出てきて「遺言を発表する」ということでは「想いを繋げる相続」はできませんよね。

 

「生前に皆を納得させること」こそが、被相続人の大切な役割ですね。

 


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